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エネルギーシステム工学研究テーマ

プールスクラビングにおける固気液三相流動場の解明 Investigation of Solid-Gas-Liquid Three-Phase Flow Structure in Pool Scrubbing

原子力発電所の重大事故では、放射性微粒子がガスとともに水中を通過することで、プールスクラビングによる高いフィルタリング効果が期待されます。原子力発電所事故のリスクアセスメントの信頼性向上を目的として、これまで微粒子の除去性能を予測・評価することが試みられてきました。しかしながら、プールスクラビングは気液二相流と微粒子の運動が複雑に相関しあう現象であるため、微粒子がフィルタリングされるメカニズムは依然明らかとはなっていませんでした。そこで、本研究では粒径計測装置を用いたフィルタリング性能の評価、ワイヤメッシュセンサーとハイスピードカメラを組み合わせた気液二相流の速度場ならびに界面積濃度の計測、干渉計や固気液三相流の数値シミュレーションを組み合わせた気泡の物質輸送係数解析を組み合わせることで現象を解明し、微粒子のフィルタリング性能を予測・評価するための機構論的なモデルの開発を目指しています。






液相内高速気相噴流界面における液滴エントレインメント現象 Droplet Entrainment Phenomena at the Interface of High Velocity Gas Jet in Liquid Phase

ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生内部では低圧の液体ナトリウムと高圧の水蒸気が伝熱管壁を通じて熱交換しております。 伝熱管が破損した際はナトリウム-水化学反応を伴った噴流が形成され、 エントレインメントされたナトリウム液滴が衝突することによる液滴エロージョンによって隣接伝熱管が破損し、 破損伝播へつながる危険性があります。蒸気発生器の最適設計や安全評価をする上で、この現象の把握は非常に重要です。 日本原子力研究開発機構は本現象に対する機構論に基づく数値解析コードSERAPHIMコードがあります。 SERAPHIMコードは温度等の解析が可能です。 そのため、本モデルの妥当性評価のために液相内気相噴流中にエントレインメントされる液滴径や液滴速度などに関する知見が求められています。 本研究では、水と空気で噴流内部にエントレインされる液滴の径と速度に焦点を当てて実験を行っています。






超音速蒸気インジェクタの流動挙動 Flow behavior of super sonic steam injector

近年、原子力発電所での電源喪失などのシビアアクシデント時に炉心冷却可能な静的安全システムの一つとして蒸気インジェクタ(以下SI)が注目されています。SIとは縮小拡大管に水と蒸気の供給口を有するシンプルな構造で作成することができ、水と蒸気の直接接触凝縮により駆動し入口蒸気圧力よりも高い吐出圧力を得ることができる噴流ポンプです。このような特徴から、原子力発電所の電源喪失時に無電源で炉心の冷却が可能な、静的安全システムとしての適用が期待されています。しかしながら、SI内部の流動挙動の知見は乏しく、またSIの作動条件は明らかになっていません。 従来の研究では縮小部では逆環状流、拡大部では分散流の挙動をとると考えられていました。しかしながら、透明なテスト部を用い実験を行うことで、実際は拡大部において環状流を一時的に形成したのちに分散流に移行としていることが判明しました。当研究室では、蒸気インジェクタ内の可視化が可能という強みを生かして、詳細な内部流動観察により蒸気インジェクタの性能や作動原理の解明を目的とした実験を行っています。






マイクロ波加熱下における突沸防止対策 Measure to Prevent flushing under Microwave Heating

原子力発電の安全を向上させるための研究を行っています。マイクロ波加熱とは電子レンジでの加熱と同じものです。 核燃料を再利用するためには燃料として使用された後の硝酸プルトニウムと硝酸ウランの混合溶液をマイクロ波加熱し、脱硝する(窒素酸化物を取り除く)必要があります。しかし、突沸現象が生じると放射性物質が吹きこぼれ、飛散する恐れがあります。そこで、本研究では突沸現象のメカニズムを十分に把握するため、蒸留水や混合溶液と誘電率が近い塩化カリウム溶液をマイクロ波加熱し、突沸現象の発生条件や温まり方、メカニズムなどを調べています。 突沸現象は沸点を超えても温まり続け、過加熱状態になった際に生じるものなので、本年度は新たに赤外線レーザーを用い、過加熱状態になる前に局所的に沸騰を誘発させることで突沸を防ぐこと検討しています。






液体ジェットの三次元挙動 3-dimensional flow behavior of a liquid jet

3D-LIF法という三次元可視化技術を用いて、液体プール中に侵入する液体ジェットの三次元挙動に関する研究に取り組んでいます。 流体の可視化手法の一つにLIF法(レーザー誘起蛍光法)があります。これは、蛍光染料を溶かした流体にレーザーを照射し、 その蛍光発光の輝度分布から流体の界面位置や密度、温度を取得する手法です。本研究室では、LIF法、レーザーのスキャン、 高速度撮影を組み合わせることで、複数の断面における液体ジェットの界面を取得し、 得られた界面情報から三次元形状を再構成することに成功しました(3D-LIF法)。この技術により、 2次元計測では困難であった流動の三次元的な評価や、液滴の径分布や位置分布といった物理量の計測が可能になりました。 本研究では、3D-LIF法により、液体ジェットの着底後、放射状に拡がる液膜の流動の可視化に加え、 液膜厚さや微粒化した液滴の径および発生頻度を計測することで、液膜挙動のメカニズム解明を目指しています。