空間、環境、設備、先生、技術職員の人、いろんな友達・・・

多くのメリットやスケール、幅広い経験から、
仕事に必要な「力」と「感性」が培われました。

構造エネルギー工学専攻 修了生座談会 2012
システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻の博士前期課程(修士課程)を修了した先輩たち。 今ではそれぞれ、社会で活躍し、夢に向かって進んでいます。 大学時代そして大学院時代を振り返るために集まってもらい、筑波大学や、構造エネルギー工学専攻・工学システム学類ならではの 「いいところ」を、さまざまな側面から自由に語ってもらいました。

松永 健太郎さん(29)
三井住友建設株式会社
東京建築支店
構造エネルギー工学専攻
修士課程修了
工学システム学類
環境開発工学主専攻卒業
茨城県龍ケ崎市出身 |

大和 伸行さん(28)
大成建設株式会社
設計本部
構造エネルギー工学専攻
修士課程修了
工学システム学類
環境開発工学主専攻卒業
千葉県印西市出身 |

長谷川 嘉子さん(27)
株式会社大林組
東京本店建築事業部
工学システム学類
環境開発工学主専攻卒業
茨城県つくば市出身 |

鬼塚由佳さん(26)
清水建設株式会社
設計本部
構造エネルギー工学専攻
修士課程修了
工学システム学類
環境開発工学主専攻卒業
千葉県習志野市出身 |
スタート地点は、四者四様!筑波大学を選んだ理由。

大和: 筑波大学への入学を希望した一つの理由は、はっきりとした専攻を決めるまでに猶予期間があったこと。入学時に、建築を志すこともぼんやりと選択肢にはあったけれど、それ意外にも興味のあることを学びたかったですね。
鬼塚: 私は、高校の時に水球をやっていて、大学でも続けたかったというのが一つの大きな理由。あとは、理数系が得意だったから、工学系に進みたいという気持ちはありました。
長谷川: 私は、家から近い所にせっかくいい大学があるのだからという、家族の勧めもありました。実は、建築系の学科があることは知らなかったんですよ。
松永: 僕は、キャンパスが広くて緑が豊かだという環境面にも惹かれましたね。もちろん、幅広く基礎的なことを学べるというのは魅力でした。
身長より、大きなものができる。本気で、取り組むことができる。

松永: それから、みんなはどうして建築に進もうと思った?
長谷川: 私は、製図の授業で、ドラフターで描いている先輩の後ろ姿がカッコよかったから(笑)。いや、もともと父が庭に小屋を建てたりして、なんでもつくる感じがいいなあと思っていた…。ちょうど、H棟のコジマさん(技術職員)が、なんでもつくってくれた感じ(笑)。
鬼塚: そうそう! H棟のコジマさん!アイデアを形にしてくださるんで、本当にいろいろな面で助けていただきました。
松永: H棟は広いし、設備も充実していて、自分たちで大きなものもつくれるからね。
長谷川: 私の身長よりも高いピラミッド型の立体をつくったり。それが、まだ実験室の前に置いてあるという(笑)。だから、思い出の場所なんですよ、私の。それに、つくる過程では共同作業が多いから、そういう意味でもたくさんの思い出ができますね。
大和: 人の魅力は大きいですね。技術職員の人の話も出たけれど、僕はとにかく先生に惹かれた。学生に分かってもらおうとする「本気」が伝わってきて、こちらも「本気」になって物事に取り組むことで、自分の土台を築ける環境があった。そして、物理的な環境…施設や設備、パソコンなどの環境が、「本気」を支えながら増幅させてくれましたね。
希望した世界を追求したり。まったく新しい世界が見えたり。
松永: 僕も先生の熱心さに惹かれた一人。とにかく授業がおもしろくて、それがきっかけでコンクリートや構造に興味を持ちはじめて…。祖父が個人で一級建築士事務所を開いていたので、小さい頃から建築の世界には触れていたけれど、大学ではまったく新しい世界に目覚めました。実験をすると、いろいろなことが分かってくる。それまでは設計者になりたいと思っていたけれど、研究の道に目を開かされましたね。
鬼塚: 私も、実験しているうちに、コンクリートがすごく好きになって(笑)…どういう「ひび」が入って行くかを見ていると、試験体に愛着が湧いてくる(笑)。だんだん楽しさが深くなっていく感じだったし、それは今の仕事にもつながっているんです。
大和: 僕も実験の楽しさが次第に分かってきたんだけど、研究室に入った最初の年は「シミュレーションをやらせてください」と希望を出して、やりたいことをやらせてもらった。そのことも、今考えるといい経験になりましたね。
鬼塚: 私は学類の3年の時に、障がい者の方が運転できる三輪車を、それぞれ6人ぐらいのチームでつくるという授業があって、一からのモノづくりを体験できました。チームワークの中でみんな仲良くなることができたし、そういう貴重な経験ができるのも、筑波ならではのカリキュラムかもしれませんね。
早期卒業制などのしくみも有効に活用し、チャレンジできる。
鬼塚: 私は大和先輩と同様に、早期卒業制を利用しようと考えて、学類の3年の時はかなり勉強しました。授業に出て実験もして、たいへんでしたけれど、充実感もかなりのものでしたね。

大和: 3年次で、必要な4年次の単位をすべて取らなければいけないので、かなり密度の濃い1年にはなりますね。そこから修士へと進みましたからね。
松永: そういうチャレンジできることも、筑波大学にはたくさんある。それに、そもそも先生が、自分からいつも率先して何かをしているから、そんな姿勢を見ているうちにスタイルを吸収できるところもあったと思うんです。自分から動くことのすばらしさを体感できるのが筑波大学。逆に、自分から動かないと、何も始まらないこともわかると思う。
長谷川: 本当に、人を動かすためにも、自分から動くことは大切ですね。私の場合も、私が進んでやればやるほど、先生がその上の新しい課題を与えてくれたので、どんどん成長することができましたね。
何にでも興味を持ち、枠に捉われないアイデアを出せる。
鬼塚: それはとても重要なことですよね。他に、筑波大学から社会に出て、良かったと思うことはありますか? 私は会社でよく、いろんな人から「何にでも興味を持つね」と言われます。それは、もしかしたら、広く学べて実践できて、何にでも抵抗なく接することができるという、筑波大卒の特徴なのかもしれないと思います。

大和: 僕の会社でも、筑波大卒の人は、ちょっと異質というか変わっているというか(笑)。常識に捉われないアイデアを出したり、個性を発揮できたりするところは、あるかもしれない。あとは、決してネガティブにならない。ポジティブに切り替えることができると思うんですよね。
鬼塚: 入学して最初から専門どっぷりではないから、仕事のスタートラインでは、他の人より遅れをとることがあるかもしれない。でも、私たちは工学を全般的に学んでいるから、なんとなく感覚的に分かることがある。「これって、おかしくないですか?」と、気づくことのできるケースも多い。それは、基礎的なものの積み上げができていたからだと思うことはよくあります。
長谷川: 私も、建築だけ学んできた訳ではないので、流体やエネルギーに関する知識が生きる時はありますね。何かの原因を突き止めるような時にも、自然に幅広く考えることができる。あまり片寄った考え方をしない。だから、鬼塚さんの「感覚的に分かる」という言葉は、とてもうなずけます。
「対人能力」という大切な部分で自然に秀でることができる。

大和: 僕の今のポジションでは、人との交渉なども重要な仕事になります。構造のことだけではなく、お客様や意匠設計者のことまで考えてまとめたり。そういうコミュニケーション能力は、筑波大卒が秀でている部分かもしれない。人によっては、筑波というと、浮世離れしているイメージがあるかもしれないけれど、真逆じゃないかな。社会に出てすぐに通用する、コミュニケーションの素養はみんなできていると思う。
長谷川: 私は、職人さんと話したり指示を出したりする時、「私のために何かしてあげたい」という気持ちにさせるのは上手かもしれないです(爆笑)。だから、お願いしたことに、さらにプラスαが返ってきたりする。手描きの指示書でも、分かりやすく色塗りして工夫すると喜んでもらえるし…。あの手この手でその気にさせてしまう(笑)。
鬼塚: いやいや、長谷川さんは学生時代から人一倍頑張る人だから。すごい努力家だから、人が付いてくるんですよ。
チームワークの機会が多いのは実社会での大きな強み。
松永: 僕はずっとバスケットボールをしてきて、大学でも楽しんでいた。そして、研究室の実験などでも、チームワークの大切さを感じました。職場ではやはり協力し合って何かをつくったり、グループの中で知恵を出し合ったりすることが多いから、筑波大学でのキャンパスライフは、自然に自分の力になっています。
鬼塚: 授業で他の学部の子と一緒になることも多いし、留学生も多いし、バイトで社会に接することもできる。本当にいろんな人と関わって、いろんな考え方に触れる機会が多い。これは筑波大学ならではの、大きな特徴だしメリットだと思います。
大和: サークルもたくさんあるし、学園祭をはじめとするイベントも多い。だから、学生生活の中で、チームで何かをつくり上げていく機会が多いんだよね。
ライフスタイルも大切にしながら大きな夢に向かって行きたい。

松永: みんなはこれから、どんな夢に向かって行きたいですか?
長谷川: 私は、楽しい家族にしたいですね(笑)。子どもも産まれますし、いい仕事をしながら、いい家庭を築きたいです。私の職場では、バリバリ働いているお母さんもたくさんいるんですよ。
大和: 僕は、同じ世界で頑張っている妻と、お互いにもっと力を付けながら、何か大きなものに一緒に取り組みたいという夢はありますね。仕事には実力も、運も必要だし、たいへんなこともたくさんある。でも、共に設計するというのは楽しいかもしれないですね。
鬼塚: 私は、楽しんで仕事のできる環境を自分でつくれたらいいかな。まだまだ女性の少ない職場にいて、私が第1号になれる機会、新しく何かを成し遂げる機会も多いと感じています。そんな中で、納得のいく仕事をしっかりとカタチにしていきたいですね。
(2012年10月 東京神田のレストランにて)