Toward Cyber-Physical Intelligence Systems
本研究室では,将来の宇宙ミッションを支える Cyber-Physical Intelligence System の実現を目指します.物理システムとデジタルモデルを密接に統合することで,宇宙機をはじめとした実システムが実環境を理解し,将来を予測し,環境と相互作用しながら自律的に行動できる知能を実現することを目標としています.
Research Framework : Digital Twins
本研究室の研究は,物理システムとデジタルモデルの統合を中心としています.Cyber-Physical Intelligence System は,物理世界と仮想空間の間の継続的なフィードバックループによって実現されます.物理システムから取得したセンサデータを用いて,仮想空間上のデジタルモデルを継続的に更新します.さらに,このデジタルモデルを用いて将来のシナリオを予測し,意思決定を支援し,制御入力を生成することで,物理システムへ作用します.この閉ループ構造によって,宇宙のような複雑で不確実な環境においても,知能的な振る舞いを実現することが可能になります.

Challenges
Cyber-Physical Intelligence System を実現するためには,いくつかの根本的な課題を解決する必要があります.
+ リアルタイムデジタルモデリング
リアルタイムで動作可能なデジタルモデルの構築.
+ モデルキャリブレーションと同期
センサデータを用いてデジタルモデルを継続的に更新.実システムとの整合性維持.
+ 物理システムとの統合
意思決定や制御における,安全性と信頼性の確保.
+ 知識の統合
モデルや意思決定への,エキスパートの知識や経験の取り込み.
Research Approaches
これらの課題に取り組むため,本研究室は複数のアプローチを組み合わせて研究を進めます.
+ モデルベースのモデリング&シミュレーション (第三の科学)
物理法則に基づくモデリングと高精度シミュレーションは,複雑な宇宙システムを理解するための重要な基盤です.本研究室では,デジタルモデルが実システムとリアルタイムに相互作用できるモデリング技術を研究します.
+ データ駆動AI (第四の科学)
AI/機械学習は,データからパターンや振る舞いを学習することで,高速な分類や回帰を可能になります.本研究室では,物理モデルを補完しながら知能化を実現するため,データ駆動型の推論・予測手法を研究します.
+ AI for Science (第五の科学)
AI for Science は,AIと科学的発見を融合する新しい研究領域であり,仮説生成,探索,モデル化,発見の加速を支援します.本研究室では,Cyber-Physical Intelligence System の実現に向けて,大規模言語モデル (LLM) や時系列基盤モデルなどの基盤モデルの活用法を研究します.
+ Physical AI
近年,現実世界における知覚・学習・制御を統合する Physical AI に関する研究が急速に進展しています.また,World Foundation Model は,物理世界の構造や法則を取り込んだ表現を学習することで,知覚・判断・行動を統合するための基盤モデルとして注目されています.これらのアプローチは,実環境での認識・予測・意思決定を一体として扱う枠組みとして,デジタルツインの高度化とも深く関係しています.そのため,Cyber-Physical Intelligence System を実現するうえで重要な技術基盤になると期待されます.
Applications
本研究室では,サイバー空間の知能と宇宙の物理システムを統合することで,将来の宇宙ミッションを支える知能システムの実現を目指している.将来的には,宇宙機の自律運用,健全性予測及び管理,オンボード意思決定などへの応用を通じて,より高度で柔軟な宇宙システムの実現に貢献することを目指します.しかし,宇宙環境においていきなり Cyber-Physical Intelligence System を実現することは容易ではありません.そこで本研究室では,まず宇宙機の開発で活用される試験設備などの地上システムを対象として,技術の検証と高度化を進めたいと考えています.こうして培われた技術は,宇宙システムだけでなく,複雑で不確実な環境下で運用される地上システムにも応用可能であり,地上での実証を通じて最終的な宇宙応用へとつなげます.
