ASI-Gauss法を用いたサーバーラックの地震時挙動解析

Motion Analysis on Seismic Behavior of Server Rack Using ASI-Gauss Technique

Abstract


サーバーやネットワーク機器などの情報機器は,現代の情報社会において重要なインフラ設備のひとつである.これら情報機器は振動や衝撃に弱いため,サーバーラックと呼ばれる専用筐体に固定して管理することが一般的である.サーバーラック等の情報・通信装置に対する信頼性確保のため,これらの耐震基準および耐震試験規格が定められているが,個々のシステムの構成や用途により実装する機器の種類や設置条件は異なるため,それらすべての条件に対して耐震試験を行うことはコストの観点から現実的ではない.しかし,機器の種類や設置条件が異なると,それらは装置全体の重心や剛性に影響するため,多様な条件を考慮でき,かつ簡便にサーバーラックの耐震性を評価できる方法の確立は重要であり,そのためには数値解析による評価が有効である.防災科学技術研究所では,建築・土木・地盤構造物および室内の家具・什器類の地震被害や対策効果を高精度に再現する数値シミュレーションシステム(数値震動台,E-Simulator)の構築およびその活用のための研究開発を行っている.非構造部材の解析は,室内安全性・耐震性の評価,避難経路の確保などに有効な手段であり,数値振動台では,このような評価に向けた非構造部材の地震時挙動を再現する解析コードの開発を進めている.本研究では,防災科学技術研究所が進めている数値振動台プロジェクトの一環として,非構造部材のひとつであるサーバーラックの耐震性評価方法の確立に向け,サーバーラックの実際の振動台実験時の挙動の再現を試みた.手順としては,まず振動台実験を行い,その結果と解析結果を比較し解析モデルの有効性を検討した.解析コードには,大規模な骨組構造解析において計算コストを最小限に抑えることが可能なASI-Gaussを用いた.ASI-Gauss法は,家具の地震時の転倒挙動解析や医療施設内の什器の地震時挙動解析などにも応用されている.


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