長周期地震動に伴う棟間衝突に関する一考察(その2:14階建て3連棟建物の棟間衝突・崩壊解析
Collision between Neighboring Buildings under Long-Period Ground Motion, Part 2: Impact and Collapse Analysis of 14-Story Three Connected Buildings

Abstract


 1985年に起きたメキシコ地震では,震源地から400kmも離れたメキシコ市において,多数の建築物が倒壊した。被害を受けた建物には14階建て近傍のものが多く(最高階数の倒壊建物は21階),2秒前後の周期を持つやや長周期地震動への共振現象が倒壊を招いたものと考えられた。特に,設計値10cmの棟間距離で3棟の同型建物が隣接して建てられていたNuevo Leon棟では,共振による捩れ現象が発生して3棟が激しく衝突し合い,北棟と中央棟の2棟が完全に倒壊してしまうという悲劇が起きた。このように,長周期地震動下では高層建築物が共振して振幅の大きな揺れを生じやすく,場合によっては隣接した建物間で衝突が生じ,被害が拡大する可能性も出てくる。当然,我が国でも,中高層建築物が近接する都市部では長周期地震動に伴う棟間衝突問題は憂々しき問題であり,その対策が急務とされている。本稿では,数値シミュレーションにより長周期地震動に伴う棟間衝突現象を再現することで,その構造因子について検証することを目的とする。解析には,ASI-Gauss法を用いた地震崩壊解析システムに接触・接触解除・再接触アルゴリズムを導入したものを用いた。1985年以前の地震で被災し,同型建築物であるにも関わらず固有周期が異なっている調査事例3)が散見されたため,これを考慮して14階建て3連棟モデルの解析を実施した。


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