物流倉庫ラックの進行性崩壊に関する数値解析的検討

Numerical Investigation on Progressive Collapse of Rack Systems in Warehouse

Abstract


物流倉庫において,荷物を保管するために鋼製のラックが一般的に使用されている.中でもパレットラックは,荷物をパレットと呼ばれる荷役台の上に載せて保管する倉庫において使用される最も一般的なラックである.このパレットラックが用いられる物流倉庫において,荷物の入出庫には一般的にフォークリフトが用いられる.その際に,フォークリフトがラックに衝突することで1列のラックが崩壊し,倉庫内のラック全体に連鎖的に崩壊が広がってゆく現象,いわゆる進行性崩壊現象が問題になっている.倉庫内で大規模なラックの崩壊が発生すると人命の損失に関わるだけではなく,経済的な損失が極めて大きくなる.ラックの崩壊を抑制する方法に関する研究としては,1列のラックに対して数値解析を行った例がある.ここでは,ラックに対して平面ブレースの崩壊抑制効果について検証しており,ラックの最上段に平面ブレースを設置することで,効果的かつ経済的にラックの崩壊を抑制することができると報告されている.しかしながら,上記の研究において,解析対象となったのはラック1列であり,連結されたラックに対しての検証はなされていない.またラックの崩壊挙動までを解析で追うことはしていなかった.連結されたラックの崩壊挙動を把握し,効果的に崩壊対策を検討することは,物流倉庫内におけるラックの崩壊事故を未然に防ぐ上で極めて重要である.そこで本研究では,連結されたラックに対して複数の異なる条件下で数値解析を行い,その崩壊挙動について調査する.その後に,ラックの進行性崩壊に対する平面ブレースの崩壊抑制効果を検証する.なお,数値解析手法には,骨組構造物に対し,非線形性が強い解析でも安定的に解くことができ,接触および破断も考慮することができるASI-Gauss法を用いた.


In this paper, an investigation was conducted using numerical analysis on progressive collapse of rack systems in warehouse. The Adaptively Shifted Integration (ASI) - Gauss code, which can stably calculate non-linear phenomenon such as member fracture and contact, was used as a numerical code in this research. The numerical results show that the occurrence of progressive collapse of rack systems depends on load capacity. Furthermore, it was shown that the introduction of horizontal braces at the top of rack systems could suppress the deformation and thus the occurrence of progressive collapse.


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