風荷重が作用する枠組足場の倒壊挙動に関する数値解析的評価

Numerical Evaluation on Collapse Behavior of Prefabricated Scaffolds under Wind Loads

Abstract


近年,強風による足場の倒壊被害が相次いでいる.最近では,東急東横線沿いの建設現場に建てられた足場が倒壊し,線路内に覆いかぶさったことで交通機関に被害が生じ,約17万3800人に影響が出た.事故当時,北西から最大瞬間風速16.4 [m⁄s]の強風が吹いており,建物東側に設置された足場が倒壊した.このように,足場の倒壊は近隣に甚大な被害を引き起こす危険性があり,防止するための方策が必要である.足場が風荷重によって倒壊する主な原因としては,足場と建物壁面を接続している「壁つなぎ」と呼ばれる部材が壁から引き抜かれることが挙げられる.壁つなぎ自体の引張強度,圧縮強度はともに十分に高いものであるが,それらに比べて壁つなぎを壁面に固定させるために打ち込むアンカーの引き抜き強度は著しく低いことが既存の研究で明らかになっている.また,設計指針として風荷重に対する足場の安全技術指針が示されているが,想定以上の風荷重が作用した際の足場の安全性については不明瞭な点が多く,そのような場合の足場の挙動について評価することは足場の安全性向上に際して極めて重要であると考えられる.そこで本研究では,多くの現場で一般的に用いられている枠組足場に対し,風荷重を作用させたときの倒壊挙動を数値解析によって調査する.パラメータは壁つなぎの取り付け間隔,風速および風向角とし,それらの差異による倒壊発生の有無および倒壊挙動の違いを評価する.解析手法には,最小限の要素分割で大規模構造物を解析することができるASI-Gauss法を用いる.


Numerical evaluation on collapse behavior of prefabricated scaffolds are conducted under wind loads with various speeds and angles. The Adaptively Shifted Integration (ASI)-Gauss method, which can stably calculate non-linear phenomena such as fracture, is used as a numerical method in this research. The numerical results show that timing when wall ties are pulled out varies depending on wind speed and attachment interval of wall ties. Furthermore, it is turned out that when any wall tie is pulled out, the other wall ties are pulled out as in a chain reaction.


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