高効率な熱変形補正を目的としたモジュール型展開アンテナのデザインの検討

A Study on the Designing of Module-Type Deployable Antenna for Highly EfficientThermal Deformation Compensation

Abstract


 太陽輻射熱による温度変化が著しい宇宙構造物は,大型になるほど熱変形による影響が顕著に表れる.例えば技術試験衛星Ⅷ型(以下,ETS- VIII)では,大型展開アンテナの熱変形により通信ビームが地球表面上で約60~100[km]移動する様子が観測された.ETS- VIIIの場合は,ビーム形状が広域だったため,ミッション遂行に問題はなかった.しかし,将来の通信衛星の通信ビームは,高い指向精度を追及していくことが想定されるため,展開アンテナの温度変化による熱変形を制御・抑制する手法を構築する必要がある.この問題に対して先行研究では,合成線膨張係数の変更と展開制御に用いるバネの残留バネ力の調整という2つの手法を組合せることで,大型展開アンテナの熱変形を高い補正率で補正できる可能性を示唆した.一方で,この手法は残留バネ力の緩和量が大きい(展開用バネの保有力233[N]のうち最大175[N]緩和)ため,展開アンテナのパラボラ形状が不安定になる恐れがある.そこで本稿では,最小限のバネ力調整量で効率良く展開アンテナの熱変形を補正するためのデザインを検討する.


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