エアスライドを用いた動荷重計測法


 材料の靭性または脆性を評価するための衝撃試験機として,シャルピー試験機や落錘型試験機などが挙げられる.これらの試験機を用いた衝撃試験では,振り上げたハンマや錘の位置エネルギを基に材料の破壊に要したエネルギを求める.しかし,このように求められた値はあくまでも相対的な値であり,設計に直接使用することは困難である.そこで,打撃刃や支持台に応力検出装置を組み込んだ計装化シャルピー試験機などが開発され,打撃時の応力たわみ関係が求められているが,その評価法はまだ確立されていないのが現状である.
 本研究では,試験体を破断にまで至らせることなく,その材料が本来許容する吸収エネルギを精度良く計測可能な新しいタイプの衝撃試験機を開発し,その計測値の評価を実験・解析の両面から実施した.試験機の衝突部には,空気膜を発生させることにより摩擦を極限にまで抑えた‘エアスライド’を用いる.この衝突部と試験体が衝突している間の速度を光干渉計で計測することにより,試験体に与えられた力積が求められ,時々刻々の動荷重値が算出される仕組みとなっている.本試験機を用いることにより,弾塑性変形を伴う材料の衝突時の正確な吸収エネルギを計測可能となることが期待できる.本研究では,本試験機を用いて簡単な動的3点曲げ試験を実施し,その結果を有限要素解析結果と定量的に比較し,試験機の性能評価を行った.

 

エアスライド概要



エアスライドを用いた動荷重計測装置



(a) 動荷重の時刻歴          (b) 荷重-変位曲線
動荷重の計測結果
試験体:φ1.50mmのアルミニウム棒材, エアスライド初速度: 0.085m/s

実験の結果,エアスライド型衝突試験機では,特に材料の除荷時における跳ね返り挙動を精度良く計測できることが判明した.従来の試験法ではこの領域の材料の挙動を把握することが困難であったが,運動量の変化を正確に測定することによって動荷重を導出する本試験法は,それを可能とした.

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関連文献(Journals):

都井 裕, 磯部大吾郎: 骨組構造の有限要素崩壊解析における順応型 Shifted Integration 法, 日本造船学会論文集, 第171号, (1992), pp.363-371. abstract

Y.Toi and D.Isobe: Adaptively Shifted Integration Technique for Finite Element Collapse Analysis of Framed Structures, International Journal for Numerical Methods in Engineering, Vol.36, (1993), pp.2323-2339. abstract

都井 裕, 磯部大吾郎: 順応型 Shifted Integraion 法による骨組構造の座屈崩壊挙動の有限要素解析, 日本造船学会論文集, 第174号, (1993), pp.469-477. abstract

Y.Toi and D.Isobe: Finite Element Analysis of Quasi-Static and Dynamic Collapse Behaviors of Framed Structures by the Adaptively Shifted Integration Technique, Computers and Structures, Vol.58, No.5, (1996), pp.947-955. abstract

Y.Fujii, D.Isobe, S.Saito, H.Fujimoto and Y.Miki: A Method for Determining the Impact Force in Crash Testing, Mechanical Systems and Signal Processing, Vol.14, No.6, (2000), pp.959-965. abstract

磯部大吾郎, 藤井 雄作,斎藤 聡: エアスライド型衝突試験機による動荷重計測値の実験的および解析的評価, 日本機械学会論文集 (A編), 第67巻, 第657号, (2001), pp.799-806. abstract

関連文献(Proceedings):

Y.Fujii, D.Isobe, S.Saito, H.Fujimoto and Y.Miki: A Method for Determining the Impact Force in Crash Testing, Proceedings of the 18th International Modal Analysis Conference, Vol.2, (2000), pp.1672-1677, San Antonio, USA. abstract

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