統計力学とは

物質を巨視的に見たとき(気体、液体、固体など)の性質を、それらの構成要素(原子・分子)の運動法則より導く力学。
例えば、気体の圧力を分子運動から求めてみよう(吉岡大二郎「マクロな体系の論理」岩波, p.13)。気体分子が長さLx, Ly, Lzの箱の中に閉じこめられているとする。i番目の分子のx方向速度をvixのように書くと、この分子は、壁との1回の衝突で、壁に力積2m*vixを与える(mは分子の質量)。一方、分子の壁への衝突はdt=2Lx/vixごとに起こるから、単位時間当たりの力積=力の時間平均は
fi=(2mvix)/(2Lx/vix)=(m*vix^2)/Lx)
これを全ての分子で和を取って、面積S=Ly*Lzで割ると圧力Pが出るから
P=Sigma(fi/S)=Sigma(m*vix^2/V)
気体の運動を等方的であると仮定してvix^2=(vi^2)/3とし、全分子の運動エネルギ−をE=Sigma(m vi^2/2)とすると
P=2E/(3V)
つまり、分子の運動エネルギーEがわかれば、圧力Pが計算できる。
ただし、ここでは粒子同士の衝突は考慮されていない。極端な話、粒子がぎっしりつまっていて、自由に動けないような状態では、この導出は成立しない。