摩擦はなぜ難しいか

高校で習うような摩擦問題では、摩擦力がある限界値に達してはじめて滑り(変形)が生じます。
つまり、滑りが生じるまでは、変形がゼロなので、どのくらいの力が作用しているか、見ただけではわかりません。(つまり変形と力が1対1に対応していない。)
このような問題に対しては、ある仮定を設けて解の上限、下限を求めることは可能ですが、 正解値を求めることはできません。
一方、通常の材料の接触面では摩擦力以外に弾性変形も生じていると考えるのが自然で、このようなモデル化を行うと、問題の性質は多少改善されます。しかし、この場合でも、滑りの生じる前と後では、異なった力-変位関係が必要となり(非線形性)、また、滑りによってエネルギーが消費される(塑性)ため、単なる弾性問題に比べて問題が難しいことは変わりありません。