助手

 これは助手のうちに書いておこうと思ったのですが,もう助手じゃなくなったので...(^^;.でも一応書いておこうと思います.助手というのは,大学の助手のことです.助手というと何か文字通り「お手伝いさん?」て感じですが(^^;,国立大学ではちゃんとれっきとした官職かつ公務員です.いや,正確には国立大学は昨年(2004年)から独立行政法人になったので,もう官職,公務員ではないですね.それは,教授も助教授もそうなので,今は教員,ていうのかな?いずれにしても教授−助教授−(講師)−助手という「並び」になっていてちゃんとした教員なのです(講師に括弧がついているのは,多くの大学では,講師はほとんどおらず,実質,教授−助教授−助手という並びになっているからで,対照的に筑波大は助手はほとんどおらず,教授−助教授−講師という並びになっています).まあ,ちゃんと常識のある人はわかっていますが,世間の認知度は悲しいほど低いです(T_T).

 実際,大学の助手になるのはかなり大変で,大学院を博士課程まで行って,博士号をとってもなかなか大学の助手のポストにはありつけることは少なく,しばらくポスドクという研究員をして食いつないで(最近は,ポスドクの研究員も学振などからかなりいい給料をもらってますが),大学の助手がどこか空くのを待つ,というのが現状です.とんねるずのバラエティーに「博士と助手」というのがあるのですが,理系では助手はほとんど博士というのが実体なのです(^^).博士を取って,すぐ助手のポストにありつければ,それはもう超ラッキーです.私は幸いにも博士を取ってすぐ大学の助手になれたのでとてもラッキーでした.幸福論?(その1)でも書いていますが,その時が今までの人生で一番幸福な瞬間でした.なぜなら,「大学の先生になってその道で食べていく」という小さい頃からの夢?を実現した瞬間だったからです(しかし,幸不幸は表裏一体のものなので...これも幸福論?参照(^^;)..

 たかが助手になったくらいで「大学の先生になってその道で食べていくという小さい頃からの夢?を実現した」と言えるのか?とお思いの方もいらっしゃると思いますが,国立大学の助手は,上で書いたようにれっきとした大学の教員であり,国立大学が独法化される以前は公務員だったわけです.ですから,はっきり言ってしまうと一旦助手になってしまえば,一生食いっぱぐれはありません(^^)(最近は任期つきの助手も増えていますが,私の頃は任期なし,即ち,食いっぱぐれなしでした,つまり当時助手になった人は今でもそうだということです).それに,教授,助教授のように講義や大学内外の様々なお仕事も少ないので(私の場合は助手の時からかなり学外の仕事はしていましたが),実は,かなりいいです(^^)(もちろん研究室によっては大変なところもあるでしょうけど).ということで,一生助手で優雅な?人生を送るような人も時々出現してしまいます(ほんと昇進するのが勿体ない?くらいですから(^^;).あえて昇進せずその分ばりばり研究するのならまだいいのですが(宇井純は有名でしたよね),ろくに仕事も研究もしない人も中にはいるのでそれはかなり問題です.独法化される前に助手になった人は公務員扱いなのでクビにはならないのです.

 そんなにいいって言うけど,じゃあ給料はどの位かというと,実は30代は教授(はそんなにいないと思うけど),助教授とほとんど変わりません.ただ40くらいで昇給が頭打ちになるので,そのくらいまでには昇進するケースが多いです.でも40くらいで頭打ちになるといっても給料が下がることはないので(ていうか少しずつは上がっていく),ということは一生助手でも40代の助教授の給料以上の額を定年(今は65)までずっともらえるわけです.

 逆に言うと,40くらいまでに助教授に昇進しても給料は助手とほとんど変わらないわけです.実際,私が助手から助教授になったときも給料はほとんど変わらず,こんだけ仕事が忙しくなって,給料は変わらなくて,まあわかってはいたのですが(^^;,あー,こんなことなら助手の方がよかった?なんてことも冗談にもならない?この間,名大の助手やってた妻の妹が助教授になって異動する,っていうんで,「質問があるんですけど...給料どのくらい上がるんですか?」ときいてきたので,「上がんないよ」って即答したら,やっぱり(^^;って感じでがっかりしてました(^^;.

 しかし,助手は名前があまりにしょぼいので,世間の風当たり?はかなり強いです.実際,私が助手をしていた頃は,「ちゃんと食べて行けてるの?」ってきかれるのはしょっちゅうでしたし,名古屋工大の市之瀬先生が助手時代に銀行で口座を作ろうとしたら窓口のお姉さんに「これってちゃんとした職業なんですかあ?」ってきかれたことは,建築構造界では有名?な話です(^^;.助手を経験された方(まあ大学の研究者をずっとされている方はほとんど経験されていると思いますが)は,こういう「逸話」の1つや2つはみんなもっていると思います.助手から助教授になっていいことって何かなあ?って考えたら,もちろん学生を取れる研究室をもてたことはとてもよかったですが,それ以外は...名前がしょぼいってことによる世間の風当たり?がなくなったことくらいかもしれません(T_T).

 助手から昇進すると助教授になるケースが多いですが,まだ年が若い場合などは一旦講師となる場合もあります.俸給表では,教授−助教授−講師−助手という「並び」になっています.この「講師」というのも助手と同様,ていうか助手より1ランク上のれっきとした大学の教員なのですが,「非常勤講師」を連想させるらしく,「世間一般」では助手ほどではないですが,「食べて行けるんですか?」みたいな風当たりがあるようです.筑波大では(珍しく)教授−助教授−講師というちゃんとした並びが確立されているのですが,その他の多くの大学では少数ですし,「世間一般」に出ればその認知度は実質「非常勤講師」です.ですから名刺に「専任講師」と書いている人も多いですが,「世間一般」には余計意味不明に見えるようです.

 実は,上で助手から助教授になっていいことって名前がしょぼいってことによる風当たりがなくなったことくらい,と書きましたが,実はまだまだ風当たり?があることがわかりました(T_T).というのは,ちゃんと教授になれるの?みたいに去年あたりからみょーに私の昇進を心配してくれる(^^;人が現れ出したからです(もうほんと余計なお世話なんですけど...(^^;).なんか助教授は教授にこき使われて大変と思われているみたいで(まあ,講座制みたいのが残っているところはそういうところもあることはあるのでしょうけど),でも実際には,筑波大は,教授,助教授,講師は完全に独立に研究室をもっていて,全くフリーにやらせてもらっているので,そういうことは全然ないのですが,なんでそういう余計な心配をしてくれる(^^;人がいるのかなー,って思っていたら,原因がわかりました.それは,「白い巨塔」でした(^^;.もう1年くらい前の話なので最近は大丈夫になりましたが,「白い巨塔」で財前五郎が大変な思いをして(金を積んで(^^;)助教授から教授に昇進するのを見て,大学ってそうなんだって世間の人は思うみたいです.もう,フジテレビも余計なものをリバイバルしてくれたものです(^^;.

 でもよく考えると,助教授の「助」って別に教授を助けるわけでもないし,講師,助手も上記のように名前がしょぼくて実体と合っていないので,大学の教員の肩書きってどれもほんとなんとかしてもらいたいもんです(同じようなものに「助役」がありますね).と思っていたら,もう何ヶ月か前ですが,文科省が名前を検討している,というのが新聞に載りました.はっきりは憶えてはいないのですが,助教授が准教授になって,助手が研究員になるとか,なんかそんな感じだったと思いますが(新情報では助手は「助教」になるらしいです.でもやっぱり意味不明(^^;?),なんだかぱっとしませんね(^^;.准教授は海外のAssociate Professorが日本の助教授よりランクが上なんだ,と言わんばかり(^^;の訳としてよく用いられているものですが,「准」なんて漢字これ以外でほとんど見たことないですし(最近,准看護師に使われたくらいですかね),助手が研究員というのもResearch Associateのこと?そういう意味では,日本の助手はれっきとしたpermanentな職業ですが,英訳はResearch Associateで,これは海外ではポスドクのことなので,外国で助手のことを説明するのにも随分骨が折れた記憶があります.

 そもそも肩書きのランク?ってなんなのでしょうか?少なくとも多くの大学の教員はみんな独立した一人前の研究者であり,肩書きのランクはあまり意味がないように思います.学長や研究科長などの組織のトップは必要でしょうが,それ以外は,みんな教授とか研究員(はさすがにまずいか(^^;)とか同じでいいような気がします.そういう意味では,企業や独立行政法人の研究所はみな研究員(主任研究員とか上席研究員とかびみょーに差はついているが(^^;)なのでそっちの方が合理的だと思います.まあ大学は研究だけではなく,教育と研究が両輪なので「研究員」というわけにはいかないでしょうが.

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