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Failure of RC


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破壊状況
下の写真は、あるRC梁の加力実験の様子である。変形を大きくしていくと、 コンクリートのひび割れが多数入り、最後には端部のコンクリートがつぶれてしまう。




破壊モード
RCの破壊モードは、大きく分けて3つに分類される。

A.曲げ系の破壊モード

  1. 曲げ破壊:引張主筋の降伏により曲げ降伏し、コンクリートの圧壊が進むにつれて耐力は徐々に低下するが、繰返し荷重による耐力低下は非常に小さく、履歴特性は紡錘形に近い安定したループを描く。変形能力は一般に極めて優れたものが多い。この破壊モードとなるには、最大耐力時のせん断応力度が過度に大きくなくかつ適度なせん断補強筋が施されている必要がある。
  2. 曲げ圧縮破壊:部材の耐力は圧縮縁コンクリートの圧壊か圧縮主筋の降伏によって支配され、軸力が特に大きい場合には、大変形に達しても引張主筋が降伏しないことが多く、コンクリートの圧壊や割裂および圧縮主筋の座屈による耐力低下が著しい。この破壊モードは、軸方向応力度がコンクリート強度の0.4倍を超える場合に生じやすい。

B.せん断系の破壊モード

  1. せん断圧縮破壊:顕著なせん断ひび割れは生ずるが、その幅は十分なせん断補強のため広がらず、圧縮域を貫通することはない。荷重または変形の増大により、圧縮側に割裂状のひび割れが生じ耐力は徐々に低下するが、繰返し荷重による耐力低下も小さく変形能力も一般に優れている。この破壊モードとなるには、曲げ降伏時せん断力がせん断ひび割れ発生時せん断力を上回り、せん断補強筋比が十分に大きい必要がある。
  2. せん断引張破壊:材端からD1.5DDは材せい)の範囲内に顕著なせん断ひび割れが発生し、突然それが著しく進展し引張外縁から圧縮外縁まで貫通して、時としてはせん断補強筋が破断し、急激に破壊に至る。このように破壊時の性状は非常に激しいが、大変形に至ってせん断引張破壊をするものについては、破壊時以前の変形性状は曲げ破壊に類似した優れた変形能力を示す場合も多い。この破壊モードは、軸力およびせん断補強筋比が比較的小さい場合に生じやすい。
  3. せん断斜張力破壊:せん断ひび割れが部材の両端の圧縮部を結ぶ対角線上に生じ、通常、このひび割れの発生と同時に耐力は急激に低下し、繰返し荷重に耐えられないものが多い。この破壊モードはシャースパン比が1程度あるいは1以下の場合に生じやすい。

C.付着系の破壊モード

  1. 付着割裂破壊:異形鉄筋を主筋とする柱で、特に多数の主筋が1段に並べられている場合に生じやすい。材端部のせん断ひび割れが引張主筋と交差する位置あたりから引張主筋上に小さな斜めひび割れ(付着割裂ひび割れ)が生じ始め、荷重の繰返し作用や変形の増大により次第に部材の中央に向けてひび割れ数が増加し、さらに部材全域に連なり、ついにはかぶりコンクリートがはく落して激しい耐力低下を生ずる。この破壊モードの履歴特性はループ面積の小さい逆S形で、繰返し荷重による耐力低下とループ面積の減少が著しいのが特徴である。この破壊モードは、引張鉄筋比が大きく約0.6%以上でシャースパン比が2前後の場合に生じやすい。
  2. 付着(滑脱)破壊:丸鋼を主筋とする柱で引張鉄筋比が大きい場合に生じやすい。鉄筋とコンクリートの間に作用する付着応力が過大になり、次第に付着がきれて主筋の応力があがらなくなり、荷重の繰返し作用や変形の増大により次第に圧縮側コンクリートの圧壊あるいは交差したせん断ひび割れの外側のコンクリートの破壊が進み、耐力低下が激しくなる。ひび割れ状況は異形鉄筋を主筋とした部材とは異なったものとなるが、履歴特性は付着割裂破壊とほとんど同様な傾向を示し、ループ面積の小さい逆S形となる。この破壊モードは、引張鉄筋比が大きい場合、特に太径主筋が用いられた場合に生じやすい。

曲げ破壊

せん断引張破壊

斜張力破壊

付着割裂破壊

荷重−変形関係の例