天井落下シミュレーションを用いた体育館吊り天井の耐震化方法に関する検討
Abstract
近年，大地震の際に学校体育館などの大空間施設において吊り天井が落下する被害が相次いで報告されている．吊り天井の落下メカニズムを解明するため，2014 年に実大三次元震動破壊実験施設（E-ディフェンス）でフルスケールの体育館試験体を用いた地震時天井落下実験が実施され，耐震対策が施されていない吊り天井（以下，未対策天井）の落下メカニズムに関して有用な知見が得られた．また，吊り天井を耐震化した上で同様の実験を行った結果，十分に耐震余裕度が確保されていることが確認されたが，同時にそれが過剰であることも示唆された．そこで本研究では，まず先行研究で開発されたASIGauss法に基づく天井落下シミュレーション技術における天井のモデル化手法に改善を加え，上述の実験の再現解析を行うことで解析の妥当性を確認する．次に，同手法を用いて吊りボルト間にブレースを設置した場合，耐震クリップを適用した場合，壁と天井の間にクリアランスを設けた場合の3 通りの部分的に耐震化された吊り天井（以下，部分耐震天井）モデルを作成し，それぞれの耐震化方法の有効性について検証する．