箱型段差吊り天井の地震時落下挙動解析

Seismic Collapse Simulation of Box-Type Suspended Ceilings with Level Gaps

Abstract


 東北地方太平洋沖地震などの大地震の際に,体育館などの大規模空間を有する施設において吊り天井が落下するといった非構造部材の被害が多数報告されている.これを受け,国土交通省により天井耐震化に関する技術基準が施行されるなど,天井脱落被害防止のためのガイドラインが整備されつつある.しかし,これらの基準が対象としているのは在来工法天井と呼ばれる一般的な吊り天井で,質量が約10~16 kg/m2の平らな天井である.一方.コンサートホールなどの音響性能を持つ建築物の吊り天井には,仕上げ材に高密度な材料が用いられることが多く,その場合,天井質量は約30~35 kg/m2にも上る.また,音響設計の一環で天井面の形状が複雑になりやすく,実際に天井の幾何構造がその落下挙動に影響を及ぼしたケースも報告されている.したがって,音響施設における吊り天井の落下メカニズムを調査し,効率的で有効な耐震化方法を明らかにすることは防災上重要な課題であると考えられる.そこで本研究では,天井面に箱型の段差が設けられた吊り天井(以後,箱型段差吊り天井と記す)をモデル化し,地震波を入力し有限要素解析を行うことで,その地震時における落下挙動メカニズムについて調査を行った.なお,解析手法には,非線形性が強い解析でも安定的に解くことができ,接触および破断も考慮することができるASI-Gauss法を用いた.


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