自由表面を持つ流体中を移動する剛体球の挙動を対象とした3次元流体FEM-個別要素法連成解析

Coupling Analysis of FEM for Fluids and DEM for a Rigid Sphere Moving in Free-Surface Flows

Abstract


 津波漂流物が建物に衝突した場合,建物倒壊等の甚大な被害が出る可能性が有り,衝突力の評価方法及び建物倒壊まで考慮した高精度な損傷評価法の確立が必要である.筆者らはこれまでの研究において,予め定めた津波の流速で漂流物を建物に衝突させ,損傷評価を行う手法を提案した.現在,漂流物,建物の構造解析と津波流体解析を連成させ,より詳細な損傷評価を行う手法の開発を目指している.その際,漂流物,建物等の構造体と,流体である津波の相互作用を考慮する必要があるため,本報ではその手法を提案し,妥当性を検証する. 一般に三次元流体解析は自由度数が多く計算負荷が高いため,並列化等により解析コードの高速化が必要となる.津波の流体解析には,近年粒子法の適用が多く検討されている.連成対象の構造体のモデル化には粒子法,個別要素法及び剛体等が用いられている.粒子法はメッシュを用いずに粒子で物性値の分布を表現するため,自由表面,砕波の表現が容易であるという利点を有する.しかし,一般に粒子の大きさは解析領域で一定であり,詳細に検討したい部分だけでなく,全粒子を細かくしなければならない.その結果,粒子数が膨大になり,計算時間の増大につながる.また,MPIを用いた並列化による高速化を行う場合,計算領域を空間で分割し,各領域内に存在する粒子を計算するため,粒子に著しい偏りが生じた場合,各ノードに負荷を動的に分散しないと,高い並列化効率が得られない.一方,有限要素法は,適切な部位のメッシュを細かくすることで、解の精度向上を図れるという利点がある.また,形状関数を用いて任意位置の物理量を一定の計算量で取得可能であり,梁要素からなる構造物モデルへの適切な物性値の伝達を期待できる.また,MPIを用いた並列化を行う場合,各ノードの計算対象の解析領域は一般に不変であるため,その並列化効率は比較的良い.本研究においては,漂流物,建物の構造解析に,衝突解析や崩壊解析に実績のあるASI-Gauss法に基づく梁要素を用いたFEM解析コードの適用を検討している.また,流体解析にはVOF法に基づく安定化有限要素法の適用を検討している.両者の連成は双方向弱連成とする.本報は基礎的検討として,構造体を単純形状の剛体でモデルした個別要素法と,VOF法に基づく流体FEMとの連成手法を提案し,検証する.


This paper presents a coupling method of rigid body motion and fluid dynamics analysis. This method is required when we develop an analysis system for damage evaluation of structure under collision of tsunami debris. We assume a debris to be a simple-shaped rigid body, and describe the process of calculation of interaction between a rigid body and fluid FEM, and then validate the results by comparing with an experimental result.


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