建物内に配置した家具の地震時挙動解析
Seismic Motion Analysis of Furniture Placed in a Building

Abstract


 長周期地震に見舞われた高層ビルの上層部では,家具の転倒により人身に危害が加えられる危険性がある.学校では,散乱した椅子や机などが避難の障害となる可能性がある.防災科学技術研究所のE-Defenseでは,家具の地震時挙動を再現するために,超高層建物の頂部を部分的に切り出した実大寸法の試験体を3次元振動台上で加振し,家具の転倒および外壁,天井等非構造部材の損傷など室内外で起こりうる現象を検証している.一般的に家具等の転倒解析には個別要素法(DEM)がよく用いられるが,DEMは家具等を剛体として扱うために,壁や人身等と接触する際の変形や応力変化については検証することが困難である.本稿では,家具の地震時挙動を再現するための有限要素解析コードを開発した.解析コードには,大規模な骨組構造解析において計算コストを最小限に抑えることが可能な,ASI-Gauss法を用いた.接触・滑り状態をより詳細に表現するために,ペナルティ接触理論に基づいて摩擦力を考慮したアルゴリズムを導入した.さらに, 建物および建物内に配置した家具を対象とし,大規模な数値解析を行った.


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