CTVビルの崩壊挙動に関する有限要素解析
Finite Element Analysis on Collapse Behavior of CTV Building

Abstract


 2011年2月22日,ニュージーランド南島の最大都市クライストチャーチでM6.3の強い地震が発生し,ビルが倒壊するなど大きな被害が出た。特に,市の中心部にあった6階建てのカンタベリーテレビ(CTV)ビルが完全に倒壊し,多数の日本人留学生らが犠牲となったことは記憶に新しい。本稿では,この建物の写真などから寸法や柱配置を推定して建物のモデル化を行い,有限要素解析を実施してその崩壊挙動について検証した。建物の崩壊挙動解析に有効なASI-Gauss法にRC(鉄筋コンクリート)構成則を導入し,これを解析に適用した。入力地震波には,市の南東10 km程のChristchurch Cathedral Collegeで観測された波形(CCCC波)を用いた。推定値に基づいた解析のため,あくまでも定性的な評価にとどまるが,建物の北側側面に構造的に強いエレベータシャフトが配置されていたためにそれを中心に建物全体に大きな捩れ振動が生じ,各階の柱が一気に水平耐力限界を超えて崩壊に至ったことを裏付ける結果となった。


PDF file