キーエレメント指標に基づいた発破解体計画手法
Blast Demolition Planning Tool Based upon Key Element Index

Abstract


 欧米では盛んに行われている老朽化した建物の発破解体であるが,日本では火薬使用量や頑強な耐震構造という制約により実施が困難なのが現状である。発破解体工法は,比較的短期間かつ低コストで行うことが可能であり,危険な作業も不要である等の利点を持つ反面,多くの場合は経験やノウハウに依存しており,部材の飛散や建物が予測しなかった崩壊挙動を示すことによる周辺建物への被害も懸念される。そこで,意図した方向へ計画通りに建物全体を崩壊させるための発破計画を入念に立てることが重要となる。本研究では,この計画を数理的に行う手段の一つとして,部材の鉛直荷重支持能力を陽に表現するキーエレメント指標に基づいた発破解体計画手法を提案する。
 部材消失後の骨組構造に対する鉛直荷重支持能力の評価指標として,Frangopolの冗長性に関わる指標,およびその逆数を取った伊藤らによる部材感度(Sensitivity Index)などが知られている。これらの指標は,鉛直荷重に対して感度の高いキーエレメントを特定する際に有効であるが,消失させた際に部分崩壊に留まってしまう柱に対しても感度が高くなる傾向があるため,全体崩壊を目標とする発破解体には適さない。そこで本稿では,部材消失前後における建物の最下層柱部材の降伏限界荷重から鉛直荷重支持能力の評価指標(キーエレメント指標)を算定し,その積算値を発破計画に適用する方法について検討した。


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