航空機衝突時のWTCビルの動的挙動について
On Dynamic Behavior of World Trade Center Tower during Aircraft Impact

Abstract


 2001年9月のニューヨーク世界貿易センター(WTC)ビルの完全崩壊は,建築史上未曾有の出来事である.一連の調査結果はFEMAによって2002年に,NISTによって2005年に報告書としてまとめられた.いずれの報告書でも,大規模な火災による柱の耐力衰退が直接的な完全崩壊の要因であるとする公式見解を記しているが,この見解に疑問を抱く研究者,技術者は少なくない.
 筆者らは現在,高層建築物の構造強度に与える大規模火災の影響,接合部強度の影響などを取り入れた数値解析を行い,多角的な視点から完全崩壊の要因について調査している.中でも,航空機が衝突したことによる動的作用が完全崩壊の直接的要因として働いた可能性を探るため,WTCビルの全体モデルを用いた航空機衝突解析を実施している.その途中経過として,航空機衝突時のWTC2号棟の動的挙動について興味深い知見が得られたので,ここに報告する.


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