Abstract
高層ビルの解体工法の一つとしてアメリカなどで行われている爆破解体は、通常の解体工法と比べ、
高所での重機を用いた危険な作業を必要とせず、また工期が短く済むといったメリットがあり、
優れた解体工法として注目されている。他方、爆破解体作業には、周辺構造物に被害を与えないよう
細心の注意を持ってあたる必要があり、未だに一部の業者がもつ高度なノウハウに依存する傾向がある。
この工法が広く一般の業者に普及するためには、事前にその崩壊挙動を検討可能なシミュレーション
技術が必要となる。しかし、このような部材の破断や接触を伴う強非線形・不連続現象に有効な
数値解析手法は未だ確立されていない。
そこで本研究ではASI-Gauss法を爆破解体解析に適用し、その有効性を検証した。本解法は
ASI法を改良したものであり、骨組構造の衝突崩壊解析に対する有効性が確認されている。
解法の詳細については他文献に譲り、本稿では5層および10層骨組構造に対して爆破解体解析を
実施し、爆破箇所の相違が崩壊挙動に与える影響を調べた結果について報告するとともに、
電磁デバイスを用いた解体実験システムについて述べる。