Smoothed Particle Hydrodynamics


SPHは圧縮性流体の連続体解析手法として開発されたものであるが、基本的なコンセプトは、「粒子が自分の周りの連続体の空間平均量を保持しながら運動する」というものであり、その粒子同士の相互作用力としては、弾性体も含め、いかなる構成モデルを採り入れることもできる手法である。
連続体の解析手法としてはFEM(Finite Element Method)が最も一般的に用いられているが、連続体をメッシュ分割して計算するため、極めて大きな変形に対しては、メッシュのゆがみによって計算精度が低下する。これに対処するために各種のリメッシング法が用いられるが、その際に必ず誤差が含まれることになる。
SPHは、粒子が連続体の物理量を持って移動するため、メッシュ分割の必要がなく、どんな大変形でも簡便に計算できる。ただし、解析精度に関しては、FEMで毎回リメッシングしているのと同程度、あるいはそれ以上の誤差を蓄積しながら計算しているため、リメッシングなしのFEMに比べると明らかに精度は劣る。
ただ、近年FEMでは解析の難しい(あるいは非常に手間のかかる)複雑な3次元計算を行う需要が高まっており、SPHを含む各種粒子法が、様々な工学分野で使われて始めている。
固体粒子系の計算としては、DEMやMDと計算アルゴリズムは殆ど変わらないので、例えば固体粒子と流体の相互作用解析をDEMとSPHの連成で行うことも比較的簡単である。ただし、土石流のように大量の固体粒子と流体粒子の混ざった流れ全体を連続体として解析する場合には、如何に適切な構成モデル(応力-ひずみ関係)を用いるかが解析の鍵となる。










2005 poster (2) (in Japanese, pdf)