あなたは恵まれている方がいいですか?恵まれていない方がいいですか?ときかれて「恵まれていない方がいい」と答える人はそんなにはいないでしょう(でもこの文章を読んでいただいている人は,世の中で当たり前とされていることに問題意識をもっている人が多いでしょうから(^^;,ひょっとしたら結構いるかもしれませんね).私だってそりゃー恵まれている方がいいです.でも今までのことをいろいろ思い返してみると,恵まれている方が幸せか,恵まれている方がいい結果を残せるか,というとむしろ逆のような気がします.
まず仕事の中に占める研究の部分ですが,私はT大地震研から筑波大に移って3年近くになりますが,仕事の中に占める研究できる時間などを考えれば明らかに地震研時代が恵まれていました.もちろん,移籍と同時に昇進もしたので純粋に組織の違いによる環境の違いのみ同士を比較することはできませんが,T大地震研のようないわゆる「大学付置研究所」は,講義などの労度が少なくて済むのは確かなので,純粋に研究だけをしたければとても恵まれています(まあその分?学外の仕事がばんばん来ますが(^^;).
でも研究に対するモチベーションは,地震研時代より今の方が高いような気がします.これは,結果的に出てくる研究業績を見てもそうですし,地震研時代からずっと私のことを見てくださっている方がいらっしゃったらそう思われているのではないかと思います.ただこのことに関しては,純粋に環境の違いかどうははっきりしません.このコーナーのあちこちで書いているように私の地震研時代は,まさに私にとって「失われた10年」に対応していたので,たまたまそういう時期だったというだけかもしれません.実際,1999年台湾集集地震が起こって以降の地震研時代の私の研究に対するモチベーションは,少なくとも今と変わらなかったですし,それから2,3年(^^;で急速に業績を上げたので公募で筑波大に来られたとも言えます.
仕事(研究)以外(仕事以外にやっていること)では,まずピアノですが,これもこのコーナーのあちこちに書いていますが,私は小さい頃から防音室付きのグランドピアノをもつことがずっと夢で,例えば,一番モチベーションが高かったT大ピアノの会時代の練習環境は,とても恵まれているとは言えず,グランドピアノで思う存分練習できたらいいのになあとずっと思っていて,10年前に念願の防音室付きのグランドピアノという環境を手に入れましたが,それ以降は,モチベーションは今一です.実際,1日1時間以上練習する日はありません(勿体ない(T_T)).
バドミントンに関しても,思うように練習できる時間がとれないから,練習方法やトレーニング方法を工夫したり,少ない練習時間でどうやって強くなるかを考えたりして,今まで続けてこられたのだと思います.ここで少し書きましたが,筑波大バドミントン部は,強豪チームであるにも関わらず,ただバドミントンだけしてればいいというところではないのですが,それがとても大事なことですし,モチベーションの向上,更には,バドミントンの技術の向上にも繋がっていると思います(バドマガにはそういう風には書いてありませんでしたが).
スキーも雪のない首都圏から電車や車で何時間もかけてスキー場に出かけていくのは大変で,車で1時間以内でスキーに行ける雪国だったらいいなー,と思うこともありますが(もちろん,スキーに行きやすいかどうかだけで住む場所や職場が決まるわけではないのは言うまでもありません(^^;),実際にそういう「恵まれた」環境だと逆にスキーに行かなくなるような気がしますし,実際そういう話はよくききます.
こういう文章を書いてる暇なんかほんとはないのに,寸暇を惜しんで睡眠時間を削ってでも書いてしまうのは,やはりこういう文章を書いてる暇なんかほんとはないからでしょう(^^;.
もう多くの方がお気づきだと思いますが,こういう「恵まれた環境とモチベーションの反比例関係」は,私個人に限らず,まさに日本などの先進国の現代社会に起きていることです.これもいろんなところに書いていますが(例えばここ)恵まれた環境を手に入れるべく,幸せになろうと一生懸命みんな働いて高度成長を成し遂げ,実際,世の中便利になり,恵まれた環境を手に入れてしまうと,逆にモチベーションが下がり,不幸になってしまったのはとても皮肉なことです.
ではどうすればいいかですが,あえて「恵まれない環境」に身を置くことができる人もいます.今のままではだめだと一念発起して会社を辞めたり,全てをなげうって出家したりする人はそういうところもあるのではないかと思います.しかし多くの人は(悲しいかな)一度恵まれた環境を手に入れてしまうと,それを手放すことはなかなかできないものです.私も地震研時代,何度も仕事を辞めようと考えましたが,結局実行に移すことはできず,一念発起して筑波大の公募に応募するくらいがやっとでした.今の日本社会の恵まれた?環境を放棄して江戸時代に戻れば幸せになれるとしても,実際にはもう逆戻りはできません.
私が思うに現実的な解決策は,「環境とモチベーションのコントロール」だと思います.確かに恵まれた環境とモチベーションは反比例するところはありますが,あまりに環境が粗悪だと話にならないのは言うまでもありません.あまりに恵まれすぎて?働かなくてもよいなら働かなくなってしまう人も多いでしょう(そして不幸になるでしょう).そこのバランスをうまく取ることだと思います.つまりモチベーションが上がらない,モチベーションが下がってきたなと思ったら,往々にして「恵まれすぎてる」ことが可能性の1つとして考えられるので,そこをうまくコントロールすることです.
私は仕事以外にいろんなことをやっていて,それは,確かに仕事だけではつまらないので(仕事がつまらないのではなく,仕事「だけ」だとつまらない,という意味です),つまらない人生を少しでも楽しくするためにそうしているところはあるのですが,なんだかんだ言っても,一番大事なのはやはり仕事で,仕事のモチベーションを高めるために仕事以外にいろんなことをやっているというところも大いにあります.仕事ばかりしているとやはりどうしても意欲は低下してきます.そこで仕事以外のことをやります.それも休憩とか息抜きとか気分転換とかそういう半端なレベルではなく,もうそれをやるのがしんどく嫌になるくらいやります.そうすると逆に仕事がしたくなります(^^;.ついでにいっぱい練習したという達成感や幸福感も感じられます.
実際,私は18〜21時くらいに,例えば筑波大バドミントン部の練習に出て,その後,シャワーを浴びて夜1時とか2時過ぎまで仕事をしています.練習後は,肉体的には疲れてもうへろへろで,もうバドミントンをするのが嫌になってますから(^^;,逆に仕事に対するモチベーションは上がっています.肉体的にとてもしんどい思いをして練習すると,デスクワークのありがたみがほんと実感できます(^^;.バドミントンやスキーで飯を食わせてやるから毎日6時間練習しろと言われたら私にはとても無理です.逆に机にばかりかじりついていると体を動かしたくなってうずうずしてきます.要はそういう「ないものねだり」を利用してモチベーションをキープしていると言えるかもしれません.
そういうモチベーションのコントロールは,これ以外にもいろんなやり方があると思います.モチベーションを上げたいもの(例えば,やらなければならない仕事)以外のことを嫌になるまで(^^;やるという1つの方法を紹介させていただきましたが,これ以外にもいろいろあります.そのうち私がやっているものをいくつかご紹介できればと思っています.いずれにしてもモチベーションが下がってきた,やる気が起きないと思ったら,無理して我慢して頑張るよりまずそこのところからいろいろ考えて工夫することでしょう.その方が遠回りのようで実は早道ですし,第一楽しくできます(そんなにのんびりしてられない場合も多々ありますが(T_T)).
無気力になると無気力であることに悩んでしまって,無気力であることを解決するという解決法を念頭に置かないところがあるので(私もそうだったし,今でもそういうところがまだある),まずそこから始めるのがいいと思います.なんだかんだ言ってモチベーションさえ上がってくれば大概のことはできるものです(それでもできなければどうやってもできないのですからそれはそれで仕方ありません(^^;).〆切に間に合わないといけないというやり方は,やる気3要素的に言うと「報酬」なので,最も効率が悪くしかも辛くしんどいので,できれば避けたいものです.でもどうしてもそうなってしまってとてもしんどい思いをしているのが現状(T_T)なので,私もまだまだということで(^^;,もっとうまく「モチベーションのコントロール」の工夫をしていきたいと思っています.
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