よく「前向きに考える」とか「前向きにとらえてめげずに頑張る」とか言いますよね.何か悪いことがあってもそれにめげずに,プラスに変えるように頑張るみたいな.そういう人って周りから見てるととても元気があってアクティブで尊敬されているように思います(ちなみに私はそういう人ではありません).実際,人生いいことばかりではありませんから,そう考えることができれば逆境でも常に頑張ることができて結果的に大きな仕事をしたり,幸せ?な人生を送ったりすることができると思います.こんな私でもこれまでいろんなことがあって,いいことばかりではないというかそうでないことの方が圧倒的に多いので,そんなときにいかに「前向きに考えて」やる気を絞り出して乗り切るかということの連続だったような気がします.
例えば,やりたくない嫌な仕事が来たときは,仕事なんだから仕方がないとか,この人に頼まれたんだから断れないとか考えるのではなく,人生の退屈しのぎをもらったとか,幸不幸は相対的なものだから,嫌な仕事をすることで一旦不幸になればその後幸福がやってくるとか,どんなに嫌でつまらない仕事でもやってみるとそれなりのおもしろさが見いだせるなどと考えるようにしてきたわけです.仕事に比べて圧倒的に結果が出ない(T_T),ピアノ,バドミントン,スキーなどについても「うまく行かないから頑張れる」と考えるようにしています.
しかし,この「前向きに考えられる」というのは,確かに「性格」の1つで,「性格」というのは,あの人はとてもいい人だ(≒とても性格がいい人だ)とか,あの人は自己チューで性格が悪い,とか言うように,評価の対象となっているのですが,私は別に「前向きに考えられる」ことが「尊敬」に値するものだとは思っていません.なぜなら,それは単に,脳内物質セロトニンの分泌の問題だからです.生まれつきセロトニンが多く分泌されれば前向きに考えられ,そうでなければ前向きに考えられない.つまり,極論すれば背が高いか低いかといった違いなのです.別に前向きに考えられなくても自己チューのように周りに迷惑をかけるわけでもありません(周りに迷惑をかければそれは必ず自分に返ってくるのでほんとに自己チューなら「自己チュー」な行動はとらないものですけどね(^^;).
しかしこのセロトニンの分泌状況は変化するようです.私自身,30前くらいまではとても楽観的というよりは脳天気(^^;?とも思えるほど何事も前向きに考えることができましたが,このコーナーのあちこちで書いているように,この道で食べて行けるようになってから今までの10数年間!はなかなか物事を前向きに考えることができず,とても苦しんできました.それは物事をどう考えるかという精神的哲学的な問題もありますが,結局はセロトニンをどうやって分泌させるかという医学的生理学的な問題なので,いろいろ研究もしました.ですから私は前向きに考えるということがどういうことかもわかっていますが,同時に,前向きに考えたいのだけれど,どうしてもそれができない,という人の気持ちも痛いほどわかります.
しかし私もそれなりに歳を取り(^^;,自分がどうやって生きて行くかというだけではなく,土木・建築・地震・防災・マスコミなどいろんな分野の人に見られたり注目されたり,あるいは,地震被害を減らしたいとこの道に入ってきた人達の(考えもしなかったことですが)目標のようなものになっていることにも気づかされるようになってきました.そういうことを考えると「前向きに考えられない」「頑張れない」などと泣き言や愚痴を言ってる場合ではないです.上で書いたように「前向きに考えられないこと」は,誰に迷惑をかけるわけでもなく,私自身が頑張れなくて私がどうなろうが私自身の責任というか自業自得ですが,私がそんなことでは後に続いてきてくれる人の意欲を削ぐようなことにもなりかねず,もしそんなことになってしまったら不本意なんてものではなく,悔やんでも悔やみ切れません.
私が取り組んでいる「地震による構造物被害に伴う人命の損失を減らす」ことは,とても重要な研究分野だと思うのですが,まだまだ人手不足,かつ,体制不足で(大学に防災を対象とした学部はおろか学科もほとんどないくらいですから),どんどん新しい人に参入してきてもらいたいのですが,先を走っている人間が元気で頑張らなければついてきてくれる人などいるわけもありません.1995年兵庫県南部地震などの実際の地震被害や将来確実に起こる大地震に危機感を憶え,地震防災の道に入ってきてくれる人達に少しでも希望と元気をあげられるように頑張らなくてはと思っています.なんか偉そーなこと書いてますが(^^;,もちろんささやかながら私のできる範囲で,できるだけのことをということです.
ということで,「前向きに考えられない」「頑張れない」などということはとりあえず棚上げして頑張れるところまで頑張ってみようと思います.でも,なんだかんだ言って,これも自分で勝手に思いこんで(^^;逆にエネルギーをもらって頑張るってことですよね.まあ三段論法的にはなりますが,これも「前向きに考える」ということになりますかね(^^).
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