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自転車等機械工業振興補助事業
平成23年度(研究補助)

自転車集団走行技術解析補助事業
(23-107)

1 補助事業の概要

(1)事業の目的

自転車ロードレースでは走行スピードが速いため,タイヤの路面抵抗より空気抵抗が自転車走行の主な抵抗力となる.集団走行する場合の空気抵抗を考えると,集団の先頭付近は空気抵抗が大きく,その位置にとどまるには,空気抵抗に抗するため多くのエネルギーを要する.集団中ほどに位置すれば,空気抵抗は小さくなり,一定の速度で進むとき多くのエネルギーを要しない.しかし,自分より前の選手がアタックをかけ,先頭から飛び出した時にはそれについていけず,後れを取る.また,前方で落車があった場合,それに巻き込まれる恐れもある.これらを回避するためには集団前方に位置するのが良い.従って,戦術的には自分より前方でアタックや落車の起こる確率と空気抵抗を考慮して集団のどのあたりに位置するかを決める必要がある.本研究では,これらの要因の内,物理的に推測できる集団中の自転車(選手)が受ける流体抵抗を明らかにすることを目的する.

(2)実施内容

集団走行する自転車群を球粒子群で置き換えたモデルを作成し、回流水槽に組み込み、球に掛かる抗力の計測および球周りの速度場計測を行った。5つの球を1列に配置した場合、2列配置した場合、5列配置した場合を行い、それぞれの場合に個々の粒子に掛かる流体子力を調べた。流体抗力が最も小さくなるのは列の中間に位置する球であることなどが示さ、その傾向は流れ場と関連付けて説明された。

回流水槽 球群 球周りの流れ
回流水槽球群 球周りの流れ

2 予想される事業実施効果

本事業の結果は、列をなす物体の個々の流体抗力を定量的に明らかにしており、ロードレースで車列中のどこに位置取りをすれば、流体抗力がどの程度になるかを予測するのに役立つ。これをもとに、位置取りに関する戦略が立てやすくなるものと予想される。一方、ロードレーサーと球では大きさが異なっており、完全に自転車の走行を模擬できているわけではないので。また、本事業で想定した以外の物体の数や間隔、列の形状が実際には発生するなど、現実に近づけるにはまだ研究が必要で、今後、ロードレースの流体抗力に関する研究が進展するものと考えられる。

3 本事業により作成した印刷物等

自転車集団走行技術解析補助事業成果報告書

4 事業内容についての問合先

筑波大学システム情報系 文字秀明
メールアドレス:monji***@kz.tsukuba.ac.jp(***を除いてください)

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