水中を連続して落下する球の相互作用

◆ 研究背景

 水や空気などの流体中に気泡や固体粒子が混ざり合っている流れについての研究を行っています.このような粒子を含む流れで重要となるのは,流体中の粒子の流れ方です.粒子の流れ方が変わることで,流体のエネルギーの損失や熱の伝わり方も変化します.また,粒子が集団を形成して流れるクラスター化という現象が起こることがあります.これは流体の不規則な流れの発生や,配管などの詰まりの原因にもなります.そのため,プラントなどの安全かつ効率的な運用のためには,粒子の挙動を調べる必要があります.

◆ 研究目的

 粒子挙動に影響を及ぼす要因の1つとして,粒子同士の相互作用が挙げられます.流体中に粒子が存在すると流れに乱れが生じます.その結果,周りの粒子が受ける流体抗力が変化します.この抗力の変化が粒子の挙動に大きく影響します.本研究室において,回流水槽を用いることで球を配列させたときの球同士の相互作用を研究しています.その結果から,後方の球が流体抗力小さくなることが明らかにされています.しかし,前述の実験では,球を固定して実験を行うため,クラスター化を観察することはできません.そこで,静止流体中に球を自由落下させることで,流体中を移動する球の相互作用を明らかにすることを研究目的としました.

◆ 実験

 静止流体中に球を連続して自由落下させ,その時の球の相互作用を明らかにします.球の大きさを変えることでレイノルズ数を変化させます.また,球の個数や間隔を変更して,それらの影響について検討します.落下球に合わせてカメラを移動させることで,PIV計測をする予定です.現在,実験装置の開発を行っています.


図1 水中を落下するアクリル球(直径d = 20mm)   図2 実験イメージ
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