前方に障害物のある球体が受ける流体抗力

１　概要

現代社会において利用頻度の高い自動車は道路上を1列で走行します．前方の自動車が空気を押しのけることにより，後方の自動車との間で流れが乱れ圧力が低下します．これにより後方の自動車が受ける流体抗力が低減した感覚を受けたことがある方もいらっしゃると思います．この現象はスリップストリームという現象として一般的に知られており，レース競技においても用いられています．この現象は自動車の動力装置の負荷低減や燃費の向上に役立つと考えられ，この現象を利用できるように基本的なメカニズムを調べることが本研究の目的です．
従来の研究として球体の前方に球体を設置する研究がなされていますので，本研究では自動車を球体，障害物である前方の自動車を直方体として回流水槽内に設置し球体にかかる流体抗力を測定する実験を行っています．

図1　回流水槽概略図 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　図2　直方体

２　実験結果

主流流速の変更，直方体の断面積を変更して抗力測定の実験を行っています．また，この流れのメカニズムを理解するために数値計算を行っています．

図3　抗力結果（中心間距離0.12m）

図4　抗力結果（中心間距離0.03m）

図5　数値計算結果（直方体１辺0.03m，中心間距離0.03m，レイノルズ数4000）

図6　数値計算結果（直方体1辺0.03m，中心間距離0.12m，レイノルズ数4000）