非構造部材の散乱を考慮した3次元避難シミュレータの開発

Development of a 3D evacuation simulator considering the scattering of nonstructural members

Abstract


建物内で地震が発生した際は素早く避難することが重要であるが,家具の転倒や天井の脱落などにより避難経路が塞がれてしまうと避難時間が増加してしまう.そのため,家具や天井の耐震対策は重要である.しかし,実際の対策は進んでいないのが現状である.そのため,耐震対策の有無が避難時間に与える影響を明らかにし,対策の必要性を定量的に示すためには,非構造部材の散乱を考慮可能な避難シミュレータの開発が必要となっている.
先行研究においては様々な避難シミュレータが開発されているが,多くの既存のシミュレータにおいて人が障害物の上を乗り越えるといった3次元的な避難行動は考慮されていない.しかし,実際の避難行動においては,避難者が障害物の乗り越えるといった3次元的な行動を起こす場合があるため,より現実に即した避難シミュレーションにはこうした3次元的な行動の考慮が必要である.また,避難者による3次元的な行動の有無は地震時における障害物の位置に依存するため,非構造部材の地震応答を適切に再現することが重要である.
障害物の挙動を解析する手法にはASI-Gauss法の使用が効果的である.この手法は家具の挙動解析や天井の脱落挙動を高精度に再現できる点で有用である.
これらのことを踏まえて本研究では,非構造部材の散乱を考慮した3次元マルチエージェント避難シミュレータの開発を目的とする.そして,これを達成するため,Social Force Model(以後SFMと呼ぶ)と人の3次元的な行動アルゴリズムを組みわせた避難シミュレータの開発と非構造部材を含んだ建物への地震応答解析を行い,後者の結果を利用した避難シミュレーションを実施する.


In order to evacuate swiftly in the event of an earthquake, it is necessary to take earthquake-proofing measures and prevent furniture from toppling over, but these are unlikely to be sufficiently implemented. In this study, we developed an evacuation simulator by applying Social Force Model to behavioral patterns of agents in three-dimensional space full of scattered furniture. We demonstrated the effectiveness of the earthquake-proofing measures by comparing the difference in evacuation time with and without them. The behavior of furniture during an earthquake is reproduced using the ASI-Gauss code, and the room with scattered furniture is used to verify the three-dimensional evacuation simulator.


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