PMSを用いたSPH-梁要素カップリングに基づく流体構造連成解析手法の開発
Abstract
本研究では,津波によって建物が流失する流体構造連成(FSI)問題のシミュレーション実現に向けて,SPHと梁要素の有限要素法(FEM)をカップリングさせた分離型FSI 解析手法を構築する.粒子法には非圧縮性流れのためのIncompressible SPH(ISPH)法を採用し,FEM には骨組構造の崩壊挙動などの強非線形問題を高精度かつ高効率に解くことができるAdaptively Shifted Integration(ASI)-Gauss 法を用いる.これにより,自由表面を伴う流れを受ける建物が倒壊し移流するプロセスを再現する.粒子法とFEM のカップリングに関する研究例は数多く存在するものの,そのほとんどは流体から構造への連成計算において,構造物の境界を壁粒子もしくはポリゴンなどで表現し,境界面に作用する流体力を表面積分するように定式化されている.その場合,連成面の力のつり合いを満たすためには,安定化項を含む0 次精度の圧力勾配モデルしか適用できないという問題点がある.一方で,境界面上の圧力を表面積分して流体力を得ることも可能だが,この方法では連成面上の力のつり合いが保証されない.さらに,上記の方法では構造物表面に壁面Nuimann 境界条件を課す必要があるため,構造物が壁面に近接する場合など,1 つの流体粒子に対して異なる方向のNuimann 条件が同時に課されると圧力計算が破綻する.以上の課題を解決するために,本研究ではKoshizuka et al., 1998が提案したPassively Massive Solid(PMS)モデルを用いて連成計算を行う.PMS は固体領域も流体と同様に粒子で離散化し,圧力および流体力は固体粒子も仮想的な流体として扱い流体粒子と同様に計算し,固体粒子の速度更新には構造解析で得られた速度を用いる方法である.また,構造物に作用する外力は各固体粒子に作用する流体力の体積積分で得られる.そのため,連成面の力のつり合いは保証され,任意の空間微分モデルを適用できる.かつ,連成面のNuimann境界条件は流体粒子と固体粒子の間に課される非圧縮条件で近似されるため,境界条件に起因する計算の破綻も起きない.これまで,PMS モデルは粒子法で流体剛体連成問題を解くための手法として開発・適用されているが,本研究では流体と骨組構造の連成解析への適用を試みる.そのために,梁要素の部材形状を粒子で離散表現し,要素の変形に応じて固体粒子の体積を補正する方法を提案する.
For interaction problems between free surface flow and frame structures,
we develop a separated FSI analysis method based on the coupling of SPH
and beam element FEM. Specifically, we propose that representation scheme
of member shapes with particles corresponding to beam elements, fluid structure
interaction method using PMS (Passively Moving Solid), and modification
of particle volume when a beam element undergoes large deformation. The
validity of the proposed method is shown by solving static and dynamic
fluidstructure interaction problems.