地震動を受ける木造家屋の倒壊シミュレーション
Abstract
木造家屋の倒壊を含む非線形地震応答を解くためのシミュレーション手法として,T. Nakagawa and M. Ohta, 2003の Extended
Distinct Element Method(EDEM)をベースとした手法が広く知られている.EDEMでは部材をバネ・ダッシュポットで接続された剛体球の集合で表現するため,部材の破壊に伴う不連続な変位場の扱いには適しているが,連続体理論の枠組みで部材の弾塑性挙動を扱うことができない.そこで本研究では,骨組構造の崩壊挙動を含む強非線形構造解析に有効なASI-Gauss法にはり部材の木材構成則を導入する.岩崎らによって示された1方向の曲げと軸力を考慮した木材構成則を拡張し,2方向の曲げと軸力を考慮可能な木材構成則を提案する.これにより木造家屋などの三次元空間での弾塑性解析に木材構成則が導入できるようになり,塑性域の広がりによる剛性低下と破壊を表現できるようになる.提案した木材構成則をASI-Gauss法に導入することで,連続体としての木材の弾塑性変形から破壊までの過程と,破壊後の飛散といった離散物としての過程を統一的にシミュレートすることが可能となる.この提案手法を用い,2005年に実大三次元振動破壊実験施設(以下,E-ディフェンス)で実施された既存木造家屋倒壊実験[6]の再現解析を行うことで,提案手法の妥当性と有用性を示す.また,能登半島地震で記録された地震動を入力波形として解析を行う.
We simulated the collapse of a wooden house using the ASI-Gauss method.
A method to reduce the stiffness of wood beams based on the plastic region
of the element cross section was used as a constitutive law of wood beams.
The validity of the numerical method was verified by comparing with a shaking
table experiment. In addition, the seismic excitation observed during the
2024 Noto Peninsula Earthquake was used as input for the analysis.