塑性域の広がりを考慮した木材はりのASI-Gauss法による弾塑性・破壊解析
Abstract
日本は世界有数の地震大国であり，東日本大震災や熊本地震では甚大な被害を受けた．日本の既存住宅の多くは木造家屋であり，地震による住宅への被害は木造家屋に集中している．このような被害を防ぐため，木造家屋がどの程度地震の影響を受けるのかをあらかじめ正しく予測することが求められている．こういった背景から，木造家屋の地震時挙動を予測できるシミュレーション技術が必要とされている．本研究では木造家屋の解析への足掛かりとして，木材はり要素の解析を行う．はり要素は骨組構造物を構成する最も基礎的な要素であるため，その弾塑性・破壊挙動を再現することは非常に重要である．その解析手法には，将来的に木造家屋の地震動解析への拡張を考え，効率的に降伏・破断を扱うことのできるASI-Gauss法を用いる．本研究では，簡単のため2次元に限定して木材はりの解析を行う．先行研究に基づいて理論を展開し解析に必要な判定式を導き，ASI-Gauss法に導入して解析を行う．