ドア枠との接触を考慮したドアの地震時挙動解析

Motion Analysis on Seismic Behaviors of Doors Considering Contact with Door Frames

Abstract


日本は何枚ものプレートが集中する場所に位置しており,地震が多発する国として知られている.建物の地震被害は倒壊現象だけではなく,倒壊を免れても建物内の非構造物が被害を受けるケースも多数存在する.中でも,ドア枠の変形によりドアの開閉が不可能になると,避難経路の妨げとなる恐れがある.ドア枠の変形は床面と天井面の間における層間変形が影響している.層間変形によりドア枠が面内変形すると,ドア本体の変形・座屈が生じ,ドアの開閉が困難となる.その対策として,ドアとドア枠のクリアランスを通常より大きく設けることで,通常のドアよりも大きな変形を許容できる耐震ドアが製造されている.しかし,クリアランスが大きいと断熱性や防音性が悪化し,居住性を悪化させる可能性がある.また,地震動下のドアの被害報告や実験等による研究は少なく,ドアとドア枠の変形による被害を低減する方法は確立されていない.先行研究では,雑壁を有する10RC造建物モデルに対して地震動下における挙動解析を実施した.雑壁は配筋されている壁と配筋されていない壁の2つの条件を設定し,建物の下層部と上層部のそれぞれに設置した雑壁内ドア枠の変形を低減する方法が提案された.しかし,ドア本体はモデル化していなかったため,ドアとドア枠間の相互作用による影響については未調査であった.そこで本研究では,先行研究で用いられた雑壁モデルにドア本体と蝶番のモデルを追加し,地震動下でのドアとドア枠の接触を考慮した地震応答解析を行った.接触アルゴリズムを用いてドアとドア枠間の接触を考慮し,様々なクリアランスを設けて解析することにより,最適なクリアランスの提案を目的とする.ドア枠の面内変形,ドアの面内変形や面外変形,蝶番の軸の回転角に着目して調査を実施した.


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