吊りボルトと構造ブレース材の座屈を考慮した吊り天井を有する体育館の地震時挙動解析

Seismic Motion Analysis of Gymnasium with Ceiling Considering Buckling of Hanging Bolts and Structural Braces

Abstract


2011年の東北地方太平洋沖地震では,体育館に代表される大規模空間を持つ屋内運動場等施設において,天井材等の落下被害の事例が多く報告されている.これらの施設は,災害時に避難施設としての役割を担っていることから,天井落下被害を防止する対策が望まれる.そのためには,天井落下のメカニズムを把握しておくことが重要である.2014年には,実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)において吊り天井を有する体育館を模擬した建築物試験体(体育館試験体)を用いた吊り天井の脱落被害再現実験が実施された.一方,メカニズム解明のためには様々な条件での検証が必要であり,数値シミュレーションの果たす役割は大きい.本稿では,地震時の体育館内における天井落下現象を再現するシミュレーション技術を構築するために,上述の吊り天井の脱落被害再現実験の再現解析を試みた.また再現実験では,吊りボルトやブレースの座屈現象が確認されたため,体育館試験体に地震対策の施されていない未対策天井を取り付けた数値モデルに対し,部材の座屈現象を考慮し地震応答解析を実施した.解析には,地震動,弾塑性,破断を含む非線形性の高い解析でも安定して行えるASI-Gauss法を用いた.


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