飛行機衝突時における高層建築物の動的挙動解析
Dynamic Behavior Analysis of High Rise Building due to Aircraft Collision

Abstract


 高層建築物の設計において、あらゆる状況下で崩壊に至らない設計を行うことが重要である。しかし2001 年9 月11日に起こった世界貿易センタービル(WTC)崩壊事件は、それまでの設計基準の安全性に疑問を投げかけた。今後新たな設計基準を確立していくにあたり、まずビルが崩壊に至った原因を特定することが急務である。既にいくつかの機関によって事件に関する調査や解析がなされ、飛行機衝突が構造物に与えた影響や崩壊を引き起こした要因等の検証結果が報告されている。しかし解析について言えば、行われたほとんどが局所モデルによるものである。飛行機の衝突が構造物全体をどのような応力状態に至らしめたかは分かっておらず、全体モデルを用いた動的解析による検証が必要である。そこで本研究ではWTC2 への飛行機衝突事件を対象として全体モデルを構築し、ASI-Gauss 法を用いて動的挙動解析を行った。本解法は骨組構造の衝突・崩壊問題に有効で、一般的な有限要素解析に比べ大幅な計算コスト削減が可能である。解法の詳細は他文献に譲り、本稿では解析によって得られた構造物全体の動的挙動および調査報告との比較について述べる。


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